クレーンの知識
クレーンの定義
クレーン等安全規則における、クレーンとは、次の2つの条件を満たす機械装置のうち、移動式クレーンおよびデリック以外のものと定められている。
  • 荷を動力を用いてつり上げ(人力によるものは含まない)
  • これを水平に運搬することを目的とする機械装置(人力によるものも含む)
厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課編
「クレーン等安全規則の解説」
クレーン等安全規則第1章(定義)第1条の解説による
通達基発602号 昭和47年9月19日
通達基発621号 昭和46年9月7日

 

荷を動力でつり上げ これを水平に運搬する
荷を動力でつり上げ これを水平に運搬する
したがって、荷のつり上げのみを行う機械装置はクレーンではなく、また、荷のつり上げを人力で行う機械装置は、荷の水平移動は動力で行ってもクレーンには含まれず、反対に荷のつり上げを動力で行うならば、たとえ荷の水平移動は人力で行ってもクレーンに含まれる。
クレーンの種類および形式
クレーンは、その用途に適するようにいろいろな構造、形状のものがあるが、その構造、形状および用途によって、一般に次のように分類される。

クレーン

天井クレーン

ジブクレーン

橋形クレーン

アンロ一ダ

ケーブルクレーン

テルハ

スタッカ式クレーン

その地

 クレーンの製造許可などに当たっては、次の分類表によることとされている。
大分類 中分類 小分類 細分類
天井クレーン 普通型天井クレーン ホイスト式天井クレーン
トロリ式天井クレーン クラブトロリ式天井クレーン
ロープトロリ式天井クレーン
(セミロープトロリ式を含む)
特殊型天井クレーン 旋回マントロリ式天井クレーン
すべり出し式天井クレーン
旋回式天井クレーン
製鉄用天井クレーン
装入クレーン
レードルクレーン
鋼塊クレーン
焼入れクレーン
原料クレーン
鍛造クレーン
ジブクレーン ジブクレーン 塔形・門形ジブクレーン 塔形ジブクレーン
高脚ジブクレーン
片脚ジブクレーン
低床ジブクレーン 低床ジブクレーン
ポスト型ジブクレーン
クライミング式ジブクレーン
つち形クレーン ホイスト式つち形クレーン
トロリ式つち形クレーン クラブトロリ式つち形クレーン
ロープトロリ式つち形クレーン
クライミング式つち形クレーン
引込みクレーン ダブルリンク式引込みクレーン
スイングレバー式引込みクレーン
ロープバランス式引込みクレーン
テンションロープ式引込みクレーン
壁クレーン ホイスト式壁クレーン
トロリ式壁クレーン クラブトロリ式壁クレーン
ロープトロリ式壁クレーン
橋形クレーン 普通型橋形クレーン ホイスト式橋形クレーン
トロリ式橋形クレーン クラブトロリ式橋形クレーン
ロープトロリ式橋形クレーン
マントロリ式橋形クレーン
特殊型橋形クレーン 旋回マントロリ式橋形クレーン
ジブクレーン式橋形クレーン
引込みクレーン式橋形クレーン
アンローダ 橋形クレーン式アンローダ クラブトロリ式アンローダ
ロープトロリ式アンローダ
マントロリ式アンローダ
特殊型アンローダ 旋回マントロリ式アンローダ
引込みクレーン式アンローダ ダブルリンク式アンローダ
ロープバランス式アンローダ
ケ−ブルクレーン 固定ケ−ブルクレーン 固定ケ−ブルクレーン
揺動ケ−ブルクレーン
走行ケ−ブルクレーン 片側走行ケ−ブルクレーン
両側走行ケ−ブルクレーン
橋形ケ−ブルクレーン
テルハ テルハ
スタッカークレーン 普通型スタッカー式クレーン
天井クレーン型スタッカー式クレーン
床上型スタッカー式クレーン
懸垂型スタッカー式クレーン
荷昇降式スタッカークレーン 天井クレーン型スタッカークレーン
床上型スタッカークレーン
懸垂型スタッカークレーン
■ 天井クレーン
建屋の両側の壁に沿って設けられたランウェイ上を走行するクレーンで、ちょうど建屋の天井をクレーンが走るようになるのでこの名がある。屋外に設けられたランウェイ上を走行するクレーンも、同じ構造、形状のものは天井クレーンと呼ばれる。天井クレーンは、主にトロリの構造により分けられ、次のものが多く用いられる。
(1) クラブトロリ式天井クレーン
最も普通に使用されている天井クレーンで、巻上げおよび横行装置を備えたクラブが、クレーンガーダ上を横行する形式のもので、巻上げ、横行、走行の運動をする。一般につり具はフックが用いられる。
用途は、一般の機械工場における機械や部品の運搬など、その範囲は極めて広い。
(2) ホイスト式天井クレーン
クラブトロリ式天井クレーンのクラブの代わりに、いわゆる電気ホイスト等を用いたもので、小形、小容量のものが多く、また、床上で操作するものが多い。
用途も、クラブトロリ式天井クレーンと同様である。
(3) 製鋼用天井クレーン
製鉄製鋼関係の工場で用いられる特殊な構造の天井クレーンを総称した呼び名で、レードルクレーン、鋼塊クレーン(ソーキングピットクレーン、ストリッパークレーン)、鍛造クレーン、焼入れクレーンなどがある。
  ストリッパークレーン
レードルクレーン
ストリッパークレーン
鍛造クレーン
■ ジブクレーン
ジブを有するクレーンで、天井クレーンに次いで多く用いられ、その種類も極めて多く、次のようなものがある。
(1) 低床ジブクレーン
固定形のものは、基礎上にすえつけられたローラパスと呼ばれる旋回レールの上に巻上装置、起伏装置、バランスウェイトなどを備えた旋回体を載せた形式のもので、巻上げ、起伏、旋回の運動をする。走行形のものは、ローラパスが移動する台車上に設けられている。
従来は主としてふ頭、岸壁等における荷役用として用いられたが、最近はビルの屋上に設置し建築にも用いられる。
(2) 高脚(門形)ジブクレーン、片脚(半門形)ジブクレーン
高脚ジブクレーンは、低床ジブクレーンのローラパスを架構上に設けたもので、脚の間にトラックを通すことができ、走行する形式のものが多い。
架構の片側の脚のレールをふ頭倉庫の屋上等に設けたものは、片脚ジブクレーンと呼ばれる。
クレーンの占有面積が少ない関係もあって、主にふ頭、岸壁等における荷役用として用いられる。
(3) 塔形ジブクレーン
高い塔状の構造物の上に起伏するジブを設けたもののうち、クライミング装置を有しないもので、巻上げ、起伏、旋回、走行の運動をする。
主に造船所のぎ装用として用いられる。
(4) ポスト形ジブクレーン
ローラパスがなく、ポスト(固定した柱)のまわりを旋回体が旋回するジブクレーンで、小容量のものが使用され、巻上げと旋回の運動をする。傾斜ジブを備え、ジブが起伏するものと、起伏しないもの、また水平ジブを備えジブに沿ってトロリが横行するものがある。
(5) クライミング式ジブクレーン

工事の進行にともない、必要に応じてマストを継ぎ足し、旋回体をせり上げる(クライミング)装置を備えたジブクレーンで、巻上げ、起伏、旋回の運動をする。

高層ビルや大型構造物の建設、ダム建設のコンクリート打設に用いられ、一つの工事が完了すると解体され、他の工事現場に移設して用いられる。

(6) つち形(ハンマヘッド)クレーン
塔状の構造物の上に水平のジブをのせた形状のもので、全体の姿がハンマの形をしているのでこの名がある。水平ジブに沿って横行するトロリの形式によりホイスト式、クラブトロリ式、ロープトロリ式に分けられ、水平ジブは旋回運動を行う。走行する形式のものが多いが、固定形のものもある。
主として造船所の船台用、ぎ装用として用いられる。
また、クライミング装置を備えたクライミング式つち形クレーンは、主として建設工事に用いられる。
(7) 引込みクレーン
普通のジブクレーンでは、ジブを起こせばつり荷は上昇し、ジブを倒せばつり荷は下降する。このためジブの起伏には大きな動力を必要とし、軽快な運転を期待することはできない。
このような欠点を除いて、ジブを起伏させても、つり荷が上下に移動しないで、ほぼ水平に移動する、いわゆる水平引込み運動をするよう工夫された作業性のよいジブクレーンで、水平引込みクレーンとも呼ばれる。
水平引込みをさせるための構造により、次のものがある。
●  ダブルリンク式引込みクレーン 3つのジブを組合せ、引込みに際してジブの先端のシーブが荷とともに水平移動するようにしたもので、荷の振れが少なく、高速運転ができるため、重量物の荷役やひん度の高い石炭や鉱石類のばら物の荷役に適している。
●  スイングレバー式 引込みクレーン

旋回体上部にスイングレバーを設け、巻上げロープをスイングレバー後部のシーブを介してジブの先端のシーブに掛けたもので、引込みのとき、ジブの先端は弧をえがいて次第に高くなるが、フックとジブ先端のシーブ間のワイヤロープが繰り出されて、荷は水平に移動するような構造になっているもので、主として船台における船体ブロックの運搬、組立て作業に用いられる。

 

●  ロープバランス式引込みクレーン (トプリス式ともいわれる) 旋回体上部に設けたシーブとジブ先端のシーブの間に巻上げロープを複数掛け、荷が水平移動するようにしたもので、主として、ふ頭、岸壁等における雑貨荷役に用いられる。
(8) 壁クレーン(ウォールクレーン)
建家の柱または壁に取付けられた水平ジブに沿ってトロリが横行するもので、天井クレーンと同様に、トロリの構造によりクラブトロリ式またはホイスト式壁クレーンなどと呼ばれる。またトロリがなくジブ先端から直接荷をつる比較的簡単なものもある。
ジブが旋回するものが多いが、旋回の代わりに全体が走行するものもある。
用途は、天井クレーンと同様であるが、比較的能力の小さいものが多く天井クレーンの補助的な使われ方が多い。
■ 橋形クレーン
天井クレーンのクレーンガーダの両端に脚を設け、地上または床上に設けた走行レ_ル上を走行させるようにしたクレーンである。
屋外に設置されることがほとんどで、走行レールの外側に作業範囲を拡大するため、カンチレバを設けたものもある。
また、ふ頭における貨物船などの荷役に用いられるものは、船の出入りを妨げないよう、カンチレバが起伏するようにしたものが多い。
橋形クレーンは、トロリの構造により分けられ、ホイスト式、クラブトロリ式、口ープトロリ式、マントロリ式があり、そのほかトロリに旋回マントロリを用いた旋回マントロリ式やトロリの代わりに、引込みクレーンや低床ジブクレーンをのせた、引込みクレーン式またはジブクレーン式橋形もある。
クラブトロリ式橋形クレーンで、巻上げおよび横行装置を備えたクラブがクレーンガーダ上を横行するもので、運転室は、通常脚の部分に設けられる。
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クラブトロリ式橋形クレーン
ふ頭等におけるコンテナの陸揚げ、積込み用として、コンテナ専用のつり具(スプレッダ)を備えたものは、コンテナクレーンと呼ばれることもある。
また、陸揚げされたコンテナの運搬に使用される橋形クレーンには、タイヤ付きのものもある。
コンテナクレーン タイヤ付橋形クレーン
橋形クレーンは、一般の機械工場における機械や部品の運搬などに用いられるほか、ふ頭における貨物の取扱いなどに広く用いられる。
■ アンローダ
船から、ばら物を陸揚げする専門のクレーンであって、橋形クレーン式と引込みクレーン式に大別される。多くの場合、ばら物を受け入れるためのホッパとコンベヤ(機内コンベヤという。)が組み込まれている。橋形クレーン式アンローダは、橋形クレーンと同様に、クラブトロリ式、ロープトロリ式、マントロリ式、旋回マントロリ式などの種類があり、引込みクレーン式アンローダは、ダブルリンク式がほとんどである。
引込みクレーン式アンローダである。岸壁に直角な引込み運動のほか、旋回を併用して作業ができる。また、バケットとフックの取替えも比較的容易で、機動性のあるアンローダといえる。
クラブトロリ式アンローダ 引込み式アンローダ
■ ケーブルクレーン
ニつの塔間に張り渡したメインロープ上をトロリが横行する形式のクレーンで、スパンの長いものが多い。また、メインロープの両端に高低差のあるものもある。
ケーブルクレーンには、両塔固定の固定ケーブルクレーン、片側の塔のみが走行する片側走行ケーブルクレーン、両塔が走行する両側走行ケーブルクレーンなどがある。
走行ケーブルクレーンの中には、固定塔またはアンカ間にロープを張り、この口ープをレールとしてメインロープ端が走行するものがあり、軌索式ケーブルクレーンと呼ばれる。
片側走行ケーブルクレーンである。これはメインロープを支持する両側の塔のうち、一方を固定し他方が円弧状のレールを走行する形式のもので、有効作業範囲は固定端を中心とした扇形の内部となる。
ダム工事、河川の改修、橋梁の架設などの土木工事に用いられる。
軌索式ケーブルクレーン 片側走行ケーブルクレーン
■ テルハ
荷の上げ下げとレールに沿った移動(横行)のみを行うクレーンをテルハといい、工場建屋・倉庫等の天井に取付けられたI形鋼の下フランジに電気ホイスほたは電動チェーンブロックをつり下げた簡単な構造のものが多い。
運転は、床上で操作するものが多いが、運転室がトロリに設けられたものもある。その作業範囲はI形鋼に沿った線上のみである。
用途としては、機械工場における材料、製品の取扱い用、倉庫や駅構内などにおける小規模の荷役用で、簡単で取扱いが容易なため広く用いられる。
テルハのうち、鉄道において、手荷物を積んだ台車などをつり上げ、線路をこえて運搬するために使用されるものは、特に跨線(こせん)テルハと呼んで区別される。
■ スタッカークレーン
直立したガイドフレームに沿って上下するフォーク等を持つもので、倉庫等の棚に対する荷の出し入れに用いられる。
スタッカークレーンには、運転室または運転台が巻上げ用ワイヤロープまたはチェーンによりつられ、常時荷の昇降と共に昇降するスタッカー式クレーンと、運転室または運転台を備えないか、もしくは運転室または運転台が荷と共に昇降しない荷昇降式スタッカークレーンに大別され、これらはいづれもランウェイ上を走行する天井クレーン型、床上に備えた走行レール上を走行する床上型およびラック上部等に備えられた走行レールから懸垂されて走行する懸垂型に細分され、昇降(荷の上下)、フォーキング(フォークの出し入れ)、走行の運動をする。
天井クレーン型スタッカー式クレーン 荷昇降式床上型
スタッカークレーン
荷昇降式懸垂型
スタッカークレーン
■ その他のクレーンの種類
(1) 移動式クレーンの知識
(2) デリック

デリックの定義

デリックとは、荷を動力を用いてつり上げることを目的とする機械装置であって、マスト又はブームを有し、原動機を別置し、ワイヤロープにより操作させるものである。荷の水平移動は必ずしも必要条件ではなく、荷を水平に運搬することができるものとできないものがある。

ガイデリック
1本の直立したマストと、その根元にピン結合されたブームで構成されており、マストはその頂部を6本以上のガイロープで支えられている
ウインチはデリック本体から離れた位置に据えつけられ、ワイヤロープによって、巻上げ、起伏、旋回の運動が行われる。
スチフレッグデリック
312001.gif基礎上に据えつけられたマスト頂部を、後方から2本の支柱で支え、ブームはマスト下部にピンで結合されている。
ウインチは、ガイデリックと同様にデリック本体から離れた位置に据えつけられ、ワイヤロープによって、巻上げ、起伏、旋回の運動が行われる。
鳥居形デリック
312002.gif2本のマストの頂部を横ばりでつなぎ、これを数本のガイロープで支え、別に据えつけられたウインチにより、巻上げ、起伏を行う。
ジンポールデリック
312101.gif1本のマストとこの頂部を支える3本以上のガイロープで構成され、マストの上部から荷をつるものである。
別に据えつけられたウインチにより巻上げ運動のみを行う。
 
 
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