SI(国際単位系)ガイド
計量法とSI単位

  • 計量法の改正 (平成4年)により,平成11年10月1日からSI単位を主体とした法定計量単位に全て移行します.

  • 法令,JIS,機器,教科書等,あらゆる分野,日常生活等において,共通的にSI単位が使用されます.
 
SI単位とは(1)

  • 各国,各分野において,いろいろな単位系が混用されていたものを,国際的に統一したものが国際単位系"SI"(「エスアイ」と読む)です.

  • SIとは,フランス語の"Le Système International d' Unités"の頭文字をとったものです.
 
SI単位とは(2)

  • SIは,7つの基本単位,2つの補助単位,19の組立単位及び20の接頭語で構成されます.

 
単位記号と接頭語(1)

  • 単位の大きさによって,ミリ(m)とか,キロ(k)とか,その大きさを表す「接頭語」を頭に付して用いることができます.


0.001メートル(m)=1ミリメートル(mm)
10,000ニュートン(N)=10キロニュートン(kN)
《主な接頭語》
名称 記号 係数
〈以上省略〉

メガ 106
キロ 103
ヘクト 102
デカ da 101
名称 記号 係数
デシ 10-1
センチ 10-2
ミリ 10-3
マイクロ μ 10-6
〈以下省略〉

 
単位記号と接頭語(2)

  • 接頭語が重複するものや,慣習上接頭語を用いないものは,接頭語を付すことは認められていません.


1,000キログラム(kg)→1キロキログラム(kkg)×
10,000時(h)→10キロ時(kh)×
  • 単位記号や接頭語は,大文字と小文字とで違う意味を持つものが存在するので,正しく区別して使用しましょう.


 
ミリ(mm)     メガ(M)
キロ(k)   ケルビン(K)

 

 
用語と単位(1)

  • クレーン等でよく用いられる「質量」「重量(重さ)」「荷重」の用語について,その意味と使用する単位を正しく理解しましょう.

《「質量」とは》
 物体が地球上どこでも,また,月や宇宙のどこにあっても変化しない物体そのものの量のことです.
 単位は,キログラム(kg),トン(t)などを用います.

 
用語と単位(2)

《「重量(重さ)」とは》
 引力に起因する重力の加速度によって,物体がその場所で受ける力のことです.
 したがって,重力の加速度が地球の約1/6しかない月では,同じ物体でも重量は地球の約1/6となります.
 単位は,力の単位であるニュートン(N),キロニュートン(kN)などを用います.
 
用語と単位(3)

《「荷重」とは》
 「荷重」は,本来は力を表す用語ですが,クレーン等ではつり上げ荷重や定格荷重などのように質量の意味で用いているものもあり,使用する単位に注意しましょう.
 
用語と単位(4)


《用語と単位と換算の例》


つり上げ荷重=定格荷重5t+フックの質量0.1t=5.1t
ワイヤロープ部にかかる荷重:F=5.1t×9.8≒50kN

 

 質量(kg)を力(N)に換算するには,地球上での重力の加速度を乗じます.
 SIでは,地球上での標準重力加速度を「9.80665m/s2」と定めていますが,簡略して計算するときは「9.8」や「10」を乗じることもあります.

(9.8で換算すると) (10で換算すると)
1kg→9.8N 1kg→10N
1t→9.8kN 1t→10kN

 

 
 
主な単位と換算(1)

《クレーン等でよく使用するSI単位・計量単位》
物象の状態の量 用語(例) SI単位・計量単位 従来単位との換算
長さ 作業半径
ジブ長さ
m(メートル)
cm(センチメートル)
mm(ミリメートル )

質量 定格荷重
つり上げ荷重
荷の質量
kg(キログラム)
t(トン)

時間
s(秒)
min(分)
h(時)

電流
A(アンペア)
角度 旋回角度
ジブ傾斜角
rad(ラジアン)
°(度)
′(分)
″(秒)

速さ
(速度)
定格速度
ロープ速度
走行速度
m/s(メートル毎秒)
m/min(メートル毎分)
km/h(キロメートル毎時)

角速度 旋回速度 rad/s(ラジアン毎秒)
回転速度 モータ回転速度 min-1(毎分)
r/min(回毎分)
rpm(回毎分)


(重量,荷重)
風荷重
ワイヤロープ破断荷重
N(ニュートン)
kN(キロニュートン)
1kgf=9.80665N
1tf=9.80665kN
力のモーメント ボルト締付けトルク N・m(ニュートンメートル)
N・cm(ニュートンセンチメートル)
kN・m(キロニュートンメートル)
1kgf・m=9.80665N・m
1kgf・cm =9.80665N・cm
1tf・m=9.80665kN・m
圧力 油圧・空圧
接地圧
Pa(パスカル)
kPa(キロパスカル)
N/m2(ニュートン毎平方メートル)
1kgf/m2=9.80665Pa
1kgf/cm2=98.0665kPa
1kgf/m2=9.80665N/m2
応力 引張強さ
降伏点
Pa(パスカル)
kPa(キロパスカル)
N/m2(ニュートン毎平方メートル)
N/mm2(ニュートン毎平方ミリメートル)
1kgf/m2=9.80665Pa
1kgf/cm2=98.0665kPa
1kgf/m2=9.80665N/m2
1kgf/mm2=9.80665N/mm2
仕事 電力量 kW・h(キロワット時)
工率
(仕事率)
(動力)
定格出力 W(ワット)
kW(キロワット)
1PS=735.5W

用語と単位についての補足解説

 本ガイドでは,「重量」は,重力の加速度によって物体がその場所で受ける力のことであり,単位は,力の単位であるニュートン(N),キロニュートン(kN)を用いると説明していますが,法令等においては,「重量」を「質量」の意味で用いているものもあります.(例:クレーン等安全規則第1条 つり具の重量,クレーン明細書(様式第3号)及び移動式クレーン明細書(様式第16号) つり具及びその重量 等).

 これらのように「質量」の意味で用いている「重量」については,単位も従来どおりのトン(t)を用います.

 
主な単位と換算(2)

 
計算例(1)

《玉掛け用ワイヤロープの選定》

よって,破断荷重170.5kN以上の玉掛け用ワイヤロープが必要である.
 
計算例(2)

《安全荷重の選定》

よって,安全につれる荷の質量(安全荷重)は,5.03t以下である.
 
計算例(3)

《クローラクレーンの接地圧》

よって,クローラクレーンのクローラの平均接地圧は61.3kN/m2である.
 
文書類について

  • 計量法では法定計量単位以外の計量単位を取引又は証明に用いることを禁じています.
取引又は証明に該当するもの 取引又は証明に該当しないもの
  • 契約書
  • 仕様書
  • 性能証明書
  • 官公庁への提出書類 等
  • カタログ類
  • 取扱説明書
  • 契約書に添付する参考資料
  • 広告類 等

 
 
 
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