クレーンの日の由来
 
 
一般社団法人日本クレーン協会と公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会は、9月30日を「クレーンの日」と定めて、クレーン等の災害防止の新しい運動を展開することとなった。
当協会発行の月刊誌『クレーン』第18巻 9号1980年に掲載された巻頭言「クレーンの日を迎えて」社団法人日本クレーン協会 常務理事 三田村修治を下記に転載します。
 
「クレーンの日」とは
 
  この日に、クレーン等に関係のある全ての人が、クレーン等災害防止の重要性について認識を新たにし、それぞれの立場において、災害防止活動を、例えば、事業場では点検、整備をするとか、職場安全会議とか、講習会などの教育を、安全関係団体では災害防止の意欲を高める各種の行事を行うとかして、クレーン等災害の防止に役立てようというものである。
「クレーンの日」を制定した趣旨については、本誌、80/No7(10頁)の、両協会が連名で労働省に提出した趣意書に述べられた通りである。すなわち、最近のクレーン災害の発生状況から考えると、更にクレーン等災害防止の気運の醸成を図り、自主的活動の意欲を促進する必要がある。そこで両協会は「クレーンの日」を制定してクレーン等災害の防止を全国のクレーン関係者に呼びかけることとした。
 
「クレーンの日」が9月30日になったいきさつ
 
  昭和42年11月1日に東海支部が「クレーンの日の集い」を開催して、優良クレーン運転士等の表彰や、クレーン等災害防止に関する講演や研究発表を行い、その後毎年11月1日にはこの集いを行ってきた。旧クレーン等安全規則は昭和37年11月1日に労働基準法に基く、単独規則として施行され、また、この規則が、当協会設立の契機ともなったので、この11月1日は当協会として特に意義深い。
この東海支部の「クレーンの日」から数年遅れて当協会と同じく、クレーン等の性能検査の代行機関である前記の協会が6月6日を「クレーンの日」としてPRを始めたために同じ労働省関係の団体が異った日を「クレーンの日」としているという体裁の悪いこととなった。 労働省からも、いずれかに統一するよう勧奨されたが、それぞれ相当の年月を経過しており、いずれかに統一することも不可能である。結局は折衷案として、9月30日に落ちつき、両協会の共同趣意書提出となったわけである。現行のクレーン等安全規則は労働安全衛生法に基く規則として、旧クレーン等安全規則が改正されたものであり、この公布が昭和47年9月30日である。
産業安全関係諸規則は従来、安全が労働条件の重要な部分を占めるとして労働基準法の関係規則となっていたが、安全を確保するためには、例えば発註者、元請、下請等単なる労使関係のみでは律し得ない部分もあるなどで、労働基準法とは別に単独法として労働安全衛生法が昭和47年7月に制定され、その関係規則として、現行のクレーン等安全規則が誕生したのであるので、この9月30日も意義深い日である。
 
昭和55年当時の「クレーンの日」の実施事項
 
  「クレーンの日」のため、当協会が実施を予定している主な事項は次の通りである。なお、来年度からは、全国クレーン運転競技大会等の諸行事も「クレーンの日」に焦点を合わせ、その前後に開催することを考える。
 
 

(1)

「クレーンの日」のPRのためのポスターの作成配布
(2) 第1回全国クレーン安全大会の開催
従来、協会の通常総会において行っていた全国優良クレーン運転士等の表彰もこの大会において行うこととする。
(3) 「クレーンの日」の記念出版として「クレーン等安全規則のすべて」(リーフレット)の作成配布
 
  「クレーンの日」の運動がクレーン等災害防止に実効を挙げるためには、「クレーンの日」が広くクレーン等関係者の間に浸透し、定着する必要がある。「クレーンの日」を主唱している協会のための「クレーンの日」でなく、個々の企業における「クレーンの日」となることが理想である。
ボイラについては、ボイラデーがある。これは、日本において、古来、かまどの神に対する信仰から、かまど祭が12月28日に、一般に行われ、ボイラを有する事業場においても広く行われてきた。これをボイラデーに置きかえたわけで、初めから、企業に定着しているということができる。本年から始まる「クレーンの日」が、この段階にまで到達するには関係者の長期こわたる努力が必要と思われる。
 
 
 
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