玉掛けに関する知識
玉掛け用ワイヤロープの安全荷重表

○ 玉掛け用ワイヤロープの種類 JIS 6×24 A種 こちら
○ 玉掛け用ワイヤロープの種類 JIS 6×37 A種 こちら

玉掛け作業の安全に係るガイドライン

○ 玉掛け作業の安全に係るガイドライン こちら

玉掛け作業
つり具を用いて行う荷掛けおよび荷外しを行う作業をいう。すなわち、クレーン等を用いて荷役運搬作業を行う場合、つり荷をクレーン等のフックでつるために玉掛用ワイヤーロープ等を利用して行われる準備、荷のつり上げ、つり荷の移動およびつり荷を所定の位置に置くまでの作業をいう。
フックに掛ける方法
目掛け
フックに玉掛け用ワイヤロープのアイを掛ける掛け方で、玉掛け用ワイヤロープの数により、1本づり、2本づり、3本づり、4本づりなどがある。
長 所
  • 最も標準的で安全な掛け方である。
短 所
  • 非対象のつり荷には適用が難しい。
ポイント
  • つり荷の掛け方に注意が必要である。
1本づり 2本づり 4本づり
半掛け
アイの部分をフックに掛けない方法で、玉掛け用ワイヤロープの数により、2本づり、4本づり、6本づりなどがある。
長 所
  • 荷の側につり手がある場合や定型的な物の専用の玉掛けに適している。
短 所
  • 重心が中心にないものや重心位置が高い荷には適さない。ワイヤロープが滑って危険である。
ポイント
  • 双方の張力が同じにならないと、フック上をワイヤロープが滑るおそれがあるので注意が必要である。
あだ巻き掛け
フックにワイヤロープを1回巻きつけて掛ける方法で、普通は4本づりまでの掛け方である。
長 所
  • 半掛けで滑るのを防止できる。
  • ワイヤロープの長さ調整ができる。
短 所
  • ワイヤロープに癖がつき、修正が必要になる。太いワイヤロープには適さない。
ポイント
  • フック上でワイヤロープが重ならないようにする。
肩掛け
フックの肩の部分にワイヤロープを巻き付けて掛ける方法で、2本以上を同時に掛けることは少ない。あだ巻き掛けのワイヤロープの巻付け位置をフックの肩部分に移すとこの形になる。
長 所
  • 目的はあだ巻き掛けと同じであるが、あだ巻きよりもワイヤロープに癖がつきにくいので、比較的太いワイヤロープにも使える。
短 所
  • 両フックにも応用できるが、ワイヤロープの重なりがきつい。
ポイント
  • フックの形状によっては掛けにくいものもあるので、注意が必要である。
ワイヤロープのよりに逆らわずに小さな輪を作り、フックの肩に掛ける
つり荷に掛ける方法
目掛け
つり荷のつり手などに、ワイヤロープのアイを掛ける方法。
長 所
  • つり荷側につり手等があることが条件であるが、製品や設備などに使えれば、扱いやすく便利である。バランスの良い荷であって、専用的に使われる玉掛用具に適している。
短 所
  • 玉掛け用ワイヤロープが緩むと外れるおそれがある。
ポイント
  • つり手が設けられている運搬台などであっても、荷が片寄って乗せてあるときは注意が必要であり、特にフック側が半掛け状態であるときは危険である。
半掛け
玉掛け用ワイヤロープを荷に回して掛ける方法。
長 所
  • 最も単純な掛け方であり、一般的に多く用いられる。
短 所
  • つり角度が大きくなるとワイヤロープが互いに引き寄せられて滑りやすくなり、不安定なつり方となる。
ポイント
  • ワイヤロープが引き寄せられても、滑らない工夫が必要である。荷の重心が片寄っていたり、重心が高いものはつり荷が転倒するおそれがあるので、つり荷のバランスの見極めが必要である。
目通し(絞り)
玉掛け用ワイヤロープの方のアイに反対側のアイまたは二つ折した部分を通して、つり荷を絞り込むように掛ける方法。深絞りと浅絞りがある。
長 所
  • 荷が絞りこまれることによって摩擦力が増し、つり荷とワイヤロープの滑りを防止できる。
  • 長尺物、複数のものをひとくくりにできる。
短 所
  • 絞りの交点部分の強度が低下する。
  • ワイヤロープの絞られたところが傷む。
  • 1本づりは荷が回転するので好ましくない。
ポイント
  • 2つ折りした状態で絞るときは、アイの部分で絞ったほうが強度の低下も少なく張力も均等になる。
  • 2点づりするときは、つり荷により、絞りの向きを考えること。荷が回転したりねじれたりする。
  • 絞り箇所にシャックルを使うときは、絞り部にピン側を使わないこと。
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あだ巻き掛け
荷にワイヤロープを1回巻きつけて掛ける方法
長 所
  • つり角度によって引き寄せられようとするワイヤロープの滑りを防止するために最も効果的な掛け方で特に長尺物には有効である。
短 所
  • つり荷の下へ2回ワイヤロープを通す必要がある。(外すときも同じ)。
ポイント
  • ワイヤロープが重ならないように掛ける。
  • 棒鋼などは、必ずつり上げる前に両端を針金などで固縛する
あや掛け
2本のワイヤロープを荷の底面で交差させて掛ける方法。
長 所
  • 円板形状の物に最適なつり方である。少々ワイヤロープの長さが異なっても張力はほぼ均等となる。
短 所
  • ワイヤロープの交差部分の強度が低下し、ワイヤロープも傷みやすい。
  • 重心の高くなる円柱や円錐状の物は、つり荷が不安定になることがある。
ポイント
  • 同じ長さのワイヤロープを使い、あや掛けの交差点が荷の重心の真下にくるようにする。
  • 玉掛け用ワイヤロープが等間隔となるように掛ける。
  • 交差部分にリングやシャックルを使うこともある。
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  • あや掛け
  • ロープの長さが違うと張力不均等
専用の玉掛け用具で玉掛けする方法
(1) クランプ
クランプを使用するときは、メーカーの指定する用途以外には使用しないこと。また、取扱い説明書を良く理解したうえで使用すること。
縦づり用と横づり用を間違えない。
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許容板厚の範囲で使用する。

クランプの開口部の奥まで十分に差し込む。

一点づりはしない。

複数個でつるときは、荷の重心がつり点の中心になるようにする。

つり角度は60度以内とする。

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(2)  ハッカー
ハッカーを使用するときは、メーカの指定する用途以外には使用しないこと、また、取扱い説明書を良く理解したうえで使用すること。

許容板厚の範囲で使用する。

つり角度は60度以内とする。

原則として複数個で玉掛けする。

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引掛けづり しぼりづり
(3) つりビーム
つりビームは、次のような場合に使用される。
  • 荷にワイヤロープを垂直にかける必要がある場合。
  • 太いワイヤロープを角度をつけて掛けることが困難な場合。
  • 長尺物で2点づりが困難な場合。
  • 長尺で軟弱物を多点づりする場合。
  • 精度よくレベル出しして物をつる必要がある場合。

つりビームを使用するときは次のことに注意して使用すること。

2フックのものは、両側のフックに均等に荷がかかるようにする。
多点づりのものは、荷が均等にかからないことを考慮して、強度には十分注意する。

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玉掛け用ワイヤロープのつり角度と荷重との関係
2本の玉掛け用ワイヤロープを用いて玉掛けしたとき、つり荷の質量mを支える力は2本の玉掛け用ワイヤロープにかかる張力F、Fの合力Rに等しい。玉掛け用ワイヤロープにかかる張力F、Fは同じ質量の荷であっても、つり角度が大きくなるにしたがって大きくなる。また、玉掛け用ワイヤロプを内側に引き寄せようとする力Pが働く。
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m:つり荷の質量(t)
W:9.8m(kN)
、F:玉掛け用ワイヤロープの張力(kN)
R:合力(kN)
  R=W
P:玉掛け用ワイヤロープを内側に引き寄せる力(kN)
331002.gifつり角度とワイヤロープの張力の関係は、つり荷の質量が同じでもつり角度が大きくなる。
331101.gif2本4点つりの場合のつり角度は、玉掛け用ワイヤーロープの対角にあるロープのなす角度をいう。
331102.gifまた、つり角度があまり大きくなると玉掛け用ワイヤロープのアイ(目)がフックから外れることがある。このためつり角度は60度以内となるようにする。
 
 
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