力学に関する知識
クレーンの運転のために必要な力学とは、クレーンで荷を巻上げ、巻下げ、水平に移動などを行う場合の物体の運動や運動と力などの関係をいい、クレーンの安全な運転操作やクレーン作業中の機体の転倒を防止するためには、どのように操作すればよいか、何に注意しなければならないかなど、すべてがこの力学に関係している。
カに関する事項
■ 力
力とは、静止している物体を動かし、動いている物体の速度を変え、また、運動を止め、あるいは物体を変形させようとする作用をいう。
(1) 力の大きさと力の向き
おもりをひもでつるし、そのひもの先を手で持つと手は真下に引かれる。おもりの大きさを変えると手に感じる強さが変わる。
また、ばねの一端を固定して他端を手で引くと、ばねは加えた力の方向に伸び、ばねの伸びを変えると手に感じる強さが変わる。これは、手に何かが作用しているからで、力学ではこれを力という。
(2) カの作用点
力には大きさと方向があることは前述の例でわかるが、力が物体に作用する位置が変わると、力の大きさや向きを変えたときと同様に、物体に与える効果が変わることがある。例えば、机の上に置かれた本の下の方をFの力で矢印の向きに静かに押すと、本は倒れないで押された方向に移動するが、本の上の方を同じ大きさの力で同じ向きに押すと、本は平行に移動しないで倒れてしまう。この力の作用する位置を力の作用点という。
(3) 力の三要素
力には必ず、力の大きさ、力の向き、力の作用点の三つの要素があり、これを力の三要素という。
力を図で表すには、力の作用点Aから力の向きBに直線を引き、ABの長さを力の大きさに比例した長さ(例えば、1N(ニュートン)を1cmの長さと決めておけば、5Nは5cmの長さである。)にとる。この直線(AB)を力の作用線という。力の向きは矢印で示す。
■ カの合成及び分解
(1) 力の合成
物体に二つ以上の力が作用している場合に、これら二つ以上の力をこれらと同じ効果をもつ一つの力におきかえることができる。このおきかえられた一つの力を前の二つ以上の力の合力といい、いくつかの与えられた力の合力を求めることを力の合成という。
力の向きの異なる二つの力FとFが点Oに作用するときの合力を求めるには、F、Fを2辺とする平行四辺形(OBDA)を作れば、その対角線Rが求める合力の大きさ及び向きである。これを力の平行四辺形の法則という。
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また、1点に三つ以上の力が作用している場合の合力も、平行四辺形を作って合力を求める方法を繰り返すことにより求めることF、F、F、Fが作用している場合、F、Fの合力Rと、F、Fの合力Rを辺とする平行四辺形を作ることにより合力Rが求められる。
340402.gif二つの力が一直線上に作用するときは、その合力の大きさはそれらの和又は差で示される。
(2) カの分解
平行四辺形を作って二つの力の合力を求める方法については、力の合成のところで述べたとおりであるが、この方法を逆に利用して、一つの力を互いにある角度をもつ二つ以上の力に分けることを力の分解という。
“そり”を引いている場合を考えると、人は綱を斜め上向きに引いているが、水平方向にはどのくらいの力で引いていることになるだろうか。“そり”は水平方向に引かれていると同時に上向きに持ち上げられている。そこで(b)のように力の平行四辺形の法則を逆に利用して考えると力FがFとFに分けられる。これが力の分解である。これにより水平方向の力はFの大きさになることがわかる。
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■ 力のモーメント
340502.gifカが物体を回転させようとする働きを力のモーメントという。
ナットをスパナで締め付けるとき、スパナの柄の中ほどを持って締めるよりも、柄の端を持って締める方が小さな力ですむ。このスパナの例は力の回転作用が、力の大きさだけに関係するものではなく、力の作用線と回転軸との距離にも関係があることがわかる。この作用線と回転軸との距離を腕の長さという。
340601.gifまた、てこを使って重量物を持ち上げる場合に、握りの位置を支点に近づけるほど大きな力が必要になる。
このような、ある回転の軸又は支点について、力とその腕の長さの積で表される量を力のモーメントという。
すなわち、力の大きさF、腕の長さをLとすれば、力のモーメントMは、

M=F×L であり、

力の大きさFの単位をN(ニュートン)、腕の長さLの単位をm(メートル)とすれば、力のモーメントMの単位は、N・m(ニュートン・メートル)で表される。
340701.gif力のモーメントは、物体を時計の針の回る方向に回転させようとする右回りのモーメントと、反対の方向に回転させようとする左回りのモーメントがある。したがって、二つ以上のモーメントの和、又はつりあいを求める場合には、回転の方向を考慮して計算しなければならない。通常、右回りのモーメントを正のモーメントとする。
■ カのつりあい
(1) 力のつりあい
一つの物体にいくつかの力が働いているのにその物体が動かないとき、それらの力は互いに“つりあっている”という。
1点に二つの力が作用してつりあっている場合には、二つの力は大きさが等しく、その向きは互いに反対である。
綱引きのとき両方の力が等しいと綱は動かない。また、おもりをひもでつり、その一端を天井のはりに結びつけると、おもりはひもがいっぱいに伸びたところで静止するが、これは地球の引力がおもりを下向きに引っ張る力、すなわち、重力が作用し、ひもはこの重力と等しい力でおもりを上向きに引っ張って、二つの力がつりあっているからである。
340802.gif1点に多数の力が作用し、これらの力がつりあっている条件は、これらの力の合力が0(ゼロ)になることである。
バケツにひもを結びつけて、二人でつり下げたときの力のつりあいの状態を示すもので、二人で引っ張る力F、Fの合力Rが、バケツの質量m (mキログラム) により生じる下向きの力F (9.8mニュートン) に等しいときバケツは静止している。
(2) 平行力のつりあい
天びん棒で荷を担ぐ場合、両方の荷の質量m、mが等しいときは、天びん棒の中央を担ぐが、荷の質量m、mが異なるときは、荷の重い方に肩を近寄せる。
これは力のモーメントをつりあわせるためである。
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右回りのモーメント M=9.8m×L

左回りのモメントM=9.8m×Lに等しいとき

力のつりあいの条件から、

×M

9.8m1×L1=9.8m×Lとなり

肩(回転軸)のまわりのモーメントはつりあう。
もちろん肩には二つの荷の質量(m+m)により生じる力を支えているのである。
質量及び重心
■ 質  量
同一の物体を、地球上で持った場合と月面で持った場合では、手に感じる重さは異なるが、物体の量は変化しない。このように、場所が変わっても変化しない物体そのものの量を質量という。質量の単位は、キログラム(kg)又はトン(t)である。
物体の質量は、体積が等しくても材質によって異なる。例えば、大きさ(体積)が同じ場合、アルミニュームは木より重く、鉄は鉛より軽い。
いろいろな材質の物の1立方メートル(1m3)当りの質量すなわち密度のおよその値を示したものである。この表を使うと、ある物体の大きさ(体積)がわかれば、表の値からその物体の質量を知ることができる。なお、密度の単位はt/m3、g/cm3である。
簡単なものの体積の略算式
物体の種類
1m3当りの質量(t)
物体の種類
1m3当りの質量(t)
11.4
1.9
8.9
石炭塊
0.8
7.8
石炭粉
1.0
鋳鉄
7.2
コークス
0.5
アルミニウム
2.7
かし
0.9
コンクリート
2.3
すぎ
0.4
2.0
ひのき
0.4
砂利
1.9
きり
0.3
木材の質量は、大気中で乾燥したものの質量。土、砂利、砂、石炭及びコークスの質量は見かけ質量。
(見かけ質量とは、ばら物のばらの状態での質量のこと。)
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■ 比  重

物体の質量とその物体と同じ体積の4℃の純水の質量との比を、その物体の比重という。

すなわち 比重=物体の質量/物体と同じ体積の4℃の純水の質量

4℃の純水の質量は、1リットル(L)のとき1キログラム(kg)、1立方メートル(m3)のとき1トン(t)である。

■ 重  心
すべての物体には重力が作用している。物体を多くの部分に分割して考えると、分割されたそれぞれの部分に重力が作用しているとみなすことができ、これらの重力の合力を求めると物体に作用する重力と同じになる。
この合力の作用点が重心と呼ばれるもので、一つの物体について重心は一定の点であり、物体の位置や置き方が替わっても重心は変わらない。
また、重心は必ずしも物体の内部にあるとは限らない。

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安  定(すわり)
静止している物体に手で力を加えて少し傾け、手を離したときその物体が元の位置に戻ろうとする場合、その物体は「安定」な状態といい、その物体が転倒しようとする場合は、「不安定」な状態という。
(a)に示すように傾けて手を離すと元に戻る。これは、重心Gに働く重力が回転の中心Oを転倒支点とし、この物体を元に戻そうとする方向にモーメントが働くからである。同図(b)及び(c)のように重心を通る鉛直線が底面の外に出てしまったときには、物体は元に戻らないで転倒する。
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また、安定な状態である物体でも、少し傾けるとすぐに倒れる安定性の悪い状態(すわりが悪い)と、多少傾けても手を離すと元に戻る安定性のよい状態(すわりがよい)がある。一般に物体は、底面の広がりが大きいほど安定しており、重心が低いほど安定している。
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また、同じ物体であっても置き方を変えると安定度は変わる。
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物体の運動
■ 運  動
ある物体が他の物体に対してその位置を変えることを、物体が運動するという。
例えば、走っているトラッククレーンの運転席に座っている人は、トラッククレーンに対しては静止しているが、道路に対しては運動していることになる。
また、走っている電車の中を歩いている人は、電車に対しても大地に対しても運動していることになる。このように、運動にはかならず基準になる物体があり、これを何にとるかによってその物体が運動しているかどうか、また、どんな運動をしているかが決まる。
運動は、等速運動と等速でない運動とに分けることができる。
等速運動とは、物体が10秒間に100m進む場合に、1秒ごとに10mずつ進み、1/2秒ごとに5mずつ進み、1/5秒ごとに2mずつ進むようなときの物体の運動をいう。等速でない運動とは、自動車のように速さが0から出発して、ある点で最大の速さとなり、目的地の手前で減速してまた速さが0になるような運動をいう。
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■ 速  度

物体の運動の速い遅いの程度を示す量を速さといい、単位時間に物体が移動した距離で表す。
等速運動をしている物体が10秒間に50m移動したとすれば、その時の速さは5m/secである。すなわち、等速運動をしている物体の速さは、ある時間中に物体が運動した距離を、その時間で除した値である。

 V = L/T   V=速さ、L=距離、T=時間

速さの単位は、通常、m/sec(メートル毎秒)、m/min(メートル毎分)、km/h(キロメートル毎時)等が用いられる。
しかし、物体の運動を考える場合、速さだけでは不十分で、運動の向きをあわせて知ることが必要であり、この運動の向きと速さを示す量を速度という。

■ 加 速 度

等速でない運動の場合、すなわち物体が速度を変えながら運動する場合、その変化の程度を示す量を加速度という。加速度には正(+)と負(−)があるが、しだいに速度を増加させる場合を正の加速度といい、減少させる場合を負の加速度という。
A点を通過するときの速度をV0(m/s)とし、一定の割合で速度が増加して、t秒後にB点を通過するときの速度がV(m/s)になったとすれば、加速度aは、

 a = V-V0 / t  (m/S) である。

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■ 慣  性

物体には、外から力が作用しない限り、静止しているときは静止の状態を、また、運動しているときは同一の運動の状態を永久に続けようとする性質がある。このような性質を慣性という。
慣性の大きさは質量に依存しており、質量が大きい物体ほど慣性が大きくなる。例えば、空の手押し車を押すと簡単に動き、押すのをやめると容易に止まる。しかし、荷を積んだ手押し車を動かそうとすると大きな力が必要となり、一旦動きだした手押し車は押すのをやめてもすぐには止まらない。このことは、空の手押し車と荷を積んだ手押し車の慣性の相違によるためである。
また、走行中の電車が急停車したときなど、車内に立っている人は電車が進行する向きに倒れそうになる。これは、電車に乗っている人に慣性力が働くからである。

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このことを移動式クレーン作業で考えると、つり荷を自由降下で降ろしていて、急ブレーキをかけると慣性力が働いてワイヤロープが切断し、その反力で移動式クレーンが転倒することがある。

■ 求心力及び遠心力
運動競技にハンマ投げがあるが、ハンマについているワイヤの一端の環を持ってハンマに円運動をあたえ、環から手を離すとハンマは手を放した位置から円の接線方向に飛んで行く。ハンマが円運動を続けるためには、手がハンマを引っ張っていなければならない。
このように、物体が円運動をするためには、物体にある力(手が柄をとおしてハンマを引っ張っている力)が作用しなければならない。この物体に円運動をさせる力を求心力という。
この求心力と力の大きさが等しく、方向が反対である力を遠心力という。

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■ 摩擦力
(1) 静止摩擦力と運動摩擦力
床の上にある物体を床面に沿って引っ張ると、床面と物体の間に物体の動きをさまたげようとする抵抗があらわれ引っ張る力が小さいと動かないが、力がある限度以上になると物体はついに動きだす。このように、静止している物体の接触面に働く抵抗を静止摩擦力という。
静止摩擦力 fは物体に力Fを加えていって物体が動きはじめる瞬間に最大となる。このときの摩擦力を最大静止摩擦力といい、物体の接触面に作用する垂直力Fwと最大静止摩擦力fmとの比を静止摩擦係数という。
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一般に静止摩擦係数は、次の式により求めることができる。

 静止摩擦係数 = 最大静止摩擦力(fm) / 垂直力(Fw)

また、物体が動きだしてから、働く摩擦力を運動摩擦力という。
静止摩擦力又は運動摩擦力のいずれの場合でも摩擦力は垂直力に比例し、接触面積の大きさに関係しない。運動摩擦力は静止摩擦力より小さい。
すなわち、床の上にある物体を床面に沿って引っ張るとき、動きはじめは大きな力が要るが動きだしてしまえば力は小さくてすむ。

(2) すべり摩擦力ところがり摩擦力
2つの物体が接触して一方がすべるときに生じる摩擦力をすべり摩擦力というが、物体を接触面にそってすべらさずに、ころがすときにも同じように摩擦力の現象があらわれる。これをころがり摩擦力という。例えば、たるやドラム缶をころがすと、これらを引きずるよりも楽に移動させることができるが、力を加えずに放置すると止まってしまうのは、ころがり摩擦力があるからである。
ころがり摩擦力は、すべり摩擦力に比べると非常に小さい。重い荷を楽に移動させるためにコロを使ったり、軸受にボールベアリングやローラベアリングを使ったりするのはこのためである。移動式クレーンでは旋回装置等に使用されている。
滑車装置
滑車装置とは、物体を移動させるためにシーブ(滑車)を組み合せたものの総称で、簡単なものは、古くから重いものを上げ降ろしするのに用いられているが、その用い方により次のような種類がある。
移動式クレーンもこの滑車装置によって大きな力を発揮している。
(1) 定滑車
滑車の軸が固定されていて、ロープを引いても滑車がその位置を変えないものを定滑車といい、移動式クレーンのジブ先端に使用されている滑車装置と同じで、滑車が定位置に固定されている。定滑車によって荷を上げるには、荷の重さと同じ力(滑車の摩擦がないものとして)が要るが、ロープを下向きに引っ張ればよく、力の方向が変わるだけで力の大きさは変わらない。この場合、荷を1m上げるには、ロープを1m引っ張ることになる。
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(2) 動滑車
滑車の軸が固定されていなく、ロープを引いたとき滑車自体が動くものを動滑車といい、移動式クレーンのフックに使用される滑車装置と同じで、動滑車にかけたロープの端Bを固定し、他端Aを上下させることにより滑車が上下する滑車装置で荷は滑車につるされる。動滑車によって荷を上げるには、荷の重さの半分(1/2)の力(滑車の摩擦がないものとして)でよいが、荷を1m上げるのにロープを2m引っ張ることになる。すなわち、力は小さくてすむが、距離は倍になる。また、ロープを引っ張る方向は上向きで、力の方向は変わらない。
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(3) 組合せ滑車
いくつかの動滑車と定滑車を組み合せた組合せ滑車は、小さい力で重い物を上げ下げすることができる。動滑車2個と定滑車2個を組み合せた場合には、滑車の摩擦がないものとすれば、荷の重さの1/4の力で荷を上げることができるが、荷を1m上げるには、ロープを4m引っ張ることになる。(仕事の原理で考えると荷を上げる仕事とロープを引っ張る仕事は同じである。)
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荷重及び応力
■ 荷  重
物体に外部から作用する力(外力)を荷重という。荷重は力のかかり方によっていろいろな分け方ができる。
(1) カの向きによる分け方
●引張荷重

Fという力が棒の縦軸の方向に働いて、棒を引っ張るように力がかかる場合を引張荷重という。

●圧縮荷重

引張荷重の場合と反対にFという力で棒を押すように力がかかる場合を圧縮荷重という。

●せん断荷重

Fの力が大きいとボルトはFに平行な面で切断される。このような力がかかる場合をせん断荷重という。
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引張荷重
圧縮荷重
せん断荷重
342301.gif●曲げ荷重

両端が支えられた梁に、軸線に直角な力Fが加えられると梁は曲がる。このような力がかかる場合を曲げ荷重という。
342302.gif●ねじり荷重

軸の一端を固定し、他端の外周に向きが反対の力Fを加えると、この軸はねじられる。このような力を受ける場合をねじり荷重という。
(2) 荷重のかかる速度による分け方
●静荷重

物体に一定の力を及ぼしている荷重のことで、移動式クレーン機械本体の自重や荷をつり上げて静止した状態のように、力の大きさと向きが変わらないものである。

●動荷重

動荷重は繰返し荷重と衝撃荷重とに分けられる。繰返し荷重は、力が反復してかける場合をいう。繰返し荷重により荷重を受ける部分は徐々に損傷を受け、ついには破断することがある。シーブを通過するワイヤロープは、繰り返し曲げ荷重を受けることになりワイヤロープの素線が断線していくのもこのためである。
衝撃荷重は、荷を巻下げるときの急停止とか、荷をつり上げる際に、玉掛け用ワイヤロープがゆるんでいる状態から高速で巻上げるような場合に生じ、このようなときには荷の重さよりはるかに大きな力が作用する。
■ 応  力

物体に荷重をかけると、物体の内部にはその荷重に抵抗し、つりあいを保とうとする力(内力)が起こる。この内力のことを応力といい、応力の強さは単位面積当りの力で表す。応力は、引張荷重を受けたとき生じる応力を引張応力といい、圧縮荷重を受けたとき生じる応力を圧縮応力、せん断荷重を受けたときに生じる応力をせん断応力という。
いま、荷重をかける部材の断面積をA(mm2)に働く引張荷重をF(N)とすれば、引張応力は次のようになる。

 引張応力 = 部材に働く引張荷重(F)/部材の断面積(A)  (N/mm2)

圧縮応力及びせん断応力の場合も同様である。
このように応力はすべて単位面積当りの力で表わすので、その部材がある荷重に対して安全であるかどうかの検討や、いろいろな材質の強さを比較するのに便利である。

 
 
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