クレーンの災害事例
CR04021
事  例

ドラグ・ショベルでブロックを据え付け中、つり荷と法面の間に挟まれる

[原因と対策]
業  種 道路建設工事業 機  種 その他の移動式クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり具、つり荷と床の物体による挟圧
 
あらまし 本災害は,道路工事においてクレーン機能付きドラグ・ショベル(以下,ショベルという)を用いて質量約1.2トンのコンクリートブロックを据え付ける作業中に,運転者が作業者に声を掛けるため運転席のドアから身を乗り出した後,運転席に座ろうとしたときに,左肘が操作レバーに接触したため,ショベルのアームが運転席側に動き出し,つっていたブロックが引きずられて付近にいた作業者がブロックと法面の間に挟まれ死亡したものである.
災害が発生した道路工事現場では,土工班,大型ブロック班,L型擁壁班の3班に分かれ,砂利敷き等の走路整備やブロック等の据え付け工事を行っていた.災害当日は午前8時頃から作業手順等についての打ち合わせを行い,8時半頃から3班に分かれて作業を開始した.このうち災害が発生した大型ブロック班では,ショベル運転者のAほか4名がブロックの据え付け工事に当たっていた.ブロックはコンクリート製であって4つの種類があり,つり上げ荷重2.9トンのショベルを用いて基礎コンクリートの上に小形のブロックを置き,さらにそれらの上に大形のブロックを載せる計画であった.災害時の作業は質量約1.2トンの大型のブロックの穴に玉掛け用のワイヤロープを通し,これをショベルでつり上げ,前日据え付けたブロックに積み上げる作業を行っていた.ブロックの玉掛けは玉掛け者のBが行い,Aがショベルを操作してブロックをつり上げ,丁張りの間に張った水糸に沿ってブロックを据え付ける作業を行っていた.2個目のブロックを載せた際,ショベルを運転していたAはブロックが水糸に沿って置かれたことを伝えようとして運転席から立ち上がり,ドアから顔を出して仲間の作業者に伝えた.Aが運転席に戻ろうとしたとき肘が運転席左側の操作レバーに当たり,操作レバーが動いた.このためアームが縮んでつっていたブロックが運転席側に引き寄せられ,近くでブロックの据え付けを行っていた作業者がブロックと土砂の間に挟まれた.
ショベルを運転していたAは,車両系建設機械技能講習,小型移動式クレーン技能講習及び玉掛技能講習を修了していた.また,玉掛け者のBも,玉掛技能講習を修了していた.作業に用いたショベルの移動式クレーンとしての仕様は,つり上げ荷重2.9トンであって荷重表示計を備えており,ボタン操作で実荷重,定格荷重,作業半径が表示され,スイッチの切り替えによりクレーンモードが設定され,アームの旋回速度が低速に限定される機構となっていた.また,フックはアーム先端に収納されるように作られていた.
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