クレーンの災害事例
CR04011
事  例

移動式クレーンで荷を建家の2階に搬入中,
荷が足場に当たって落下し作業者を直撃する

[原因と対策]
業  種 内装工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,鉄骨2階建ての店舗新築工事において,ホイールクレーン(つり上げ荷重4.9トン)を用いて内装用ボード(質量約700kg)を建物2階のベランダに下ろす作業中,つり荷が足場に触れて荷崩れしたため,つり荷がスリングベルトからすり抜けて落下し,荷受けしていた作業者を直撃したものである.
災害が発生した店舗新築工事現場では,元請けのK 社の2次下請けH 社が内装工事を行っており,2階のベランダに内装用ボードを搬入するため,災害発生の数日前にK 社の現場代理人とH 社のX(被害者)が現場で打ち合わせを行い,K 社が運転士付きでクレーンをリース会社から借りることになった.
災害の当日の午後1時前にリース会社からのホイールクレーンが到着し,やがて内装ボードを積んだ4トントラックも到着した.H 社のX,クレーン運転士及びトラック運転手の3人が現場に入場し,K 社の現場代理人と何の打ち合わせもしないままX がトラック運転手に玉掛けするよう依頼し,X自身は荷取り場所になる2階のベランダに上がって合図者となると共に荷受けするため待機した.内装用ボードは1 枚が幅910mm,長さ1820mm,厚さ12.5mm であって,50枚(質量約700kg)が一束となって盤木に乗せられており,この束にトラック運転士は自分がもってきたスリングベルトとX が手渡したスリングベルトの2本を用いて玉掛けした.最初にX がクレーン運転士につり上げの合図を送り,荷を2階のベランダに下ろした.2回目も同様の玉掛けを行ってクレーンでつり上げ作業を続けた.しかし,クレーン運転士は足場とネットが視界の邪魔になるにもかかわらず,合図者であるX の指示を待たずに荷を下ろそうとして,旋回させながらジブ伏せと荷の巻き下げを同時に行ったため,つり荷がベランダ付近に取り付けられていた単管足場の先端に触れて,つり荷がスリングベルトからすり抜けて落下した.そのときつり荷の内装用ボードを室内に運び終えてベランダに出てきたX が落下してきたつり荷の下敷きとなった.なお,災害発生時は微風でありつり荷が振れるほどではなかった.クレーン運転士は移動式クレーン運転士免許を,合図及び荷受けをしていたX は玉掛け資格を有していたが,トラック運転士は玉掛け資格を有していなかった.
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