クレーンの災害事例
CR03081
事  例

小型移動式クレーンの荷が作業者を直撃する

[原因と対策]
業  種 隧道の改修事業 機  種 クローラクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,地山の地滑り防止対策工事現場において,立坑内から質量230kgのボーリング用のチューブを小型移動式クレーン(つり上げ荷重2.52t)でつり上げ中,巻上げ用ワイヤロープが切断して荷と共にフックブロックが落下し,立坑内で作業をしていた被災者を直撃したものである.
災害当日は,午前中に小型移動式クレーンの直径8mmの巻上げ用ワイヤロープの掛け替えを行い,―本掛けから3本掛けに変更した.
午後,A,B,Cの3名の作業者が立坑内に入り,インナーロッドをボーリングマシンで引抜く作業に着手した. このとき,Aがボーリングマシンの操作を,Bが高圧洗浄機でアウターチューブの水洗いを,Cがボーリングマシンで引抜いたアウターチューブの取外しと,玉掛け用ワイヤロープ上へのアウターチューブの積み上げ作業を行った.長さ1m,質量23kgのアウターチューブ10本が玉掛け用ワイヤロープ上へ積み上げられたところで,Cが立坑から出て小型移動式クレーンの運転を行い,立坑からの指示でフックを立坑内に下ろした.
Aがフックに玉掛け用ワイヤロープを掛け,つり上げの合図を行った.合図を受けたCが荷のつり上げ操作を行い,荷が立坑から少し出たくらいまでつり上げたとき,ブチッという音がして巻上げ用ワイヤロープが切断し,荷と共にフックブロックが落下して立坑内で作業をしていたBを直撃した.
災害発生時,雨が強く降っていたのでCはへルメットの上から雨合羽を被ってクレーンを操作しており,巻過警報音に気付かなかった.
ワイヤロープの切断位置は,フックブロックのワイヤ止め金具の先端から33cmの箇所であった.また,移動式クレーンの巻上げドラムにワイヤロープの殆どが巻き込まれた状態になっていた.
この移動式クレーンには巻過ぎを防止するための警報装置が付けられており,午前中に行われたワイヤロープの掛け替えの際の作動テストにおいても,正常に警報装置が作動することが確認されていた.
なお,A及びCはいずれも小型移動式クレーン運転技能講習並びに玉掛技能講習を修了しており,作業に必要な資格は有していた.
cr03081.jpg
 
 
[ホーム]