クレーンの災害事例
CR03041
事  例

積載形トラッククレーンで荷の下敷きとなる

[原因と対策]
業  種 隧道新設事業 機  種 積載形トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 本災害は,立抗掘削工事現場において積載形トラッククレーン(つり上げ荷重2.93t)に積んできた質量約1.5トンの濁水処理装置を荷下ろし作業中,フックがフックブロックから突然抜けて荷と共に落下し,荷下ろし作業の手伝いをしていた被災者が荷の下敷きになったものである.
日頃建材等の搬送を委託していた会社に濁水処理装置の搬入を依頼したが,あいにくトラックの手配がつかなかったため,他の運送会社に委託することになった. 依頼を受けた運送会社では,運転手Tを積載形トラッククレーン車で荷元に派遣し, 質量約1.5トンの濁水処理装置を荷台に積み込んだ.
災害発生当日現地に到着し,9時頃からアウトリガーを最大に張り出して荷下ろし作業にかかった.
このとき,現場の2次下請けの職長であるBが荷台に乗り込んできて,荷を固定していたワイヤロープを外す作業を手伝った.
TはBから両端シャックル付きワイヤロープ2本を渡すように言われたのでそれにしたがったところ,Bは濁水処理装置の4隅にシャックルを取り付けてワイヤロープをフックに掛けた.
Bは荷台から降りてTと反対側のトラッククレーンの右側後部に行き,クレーン操作を始めたTに対してジブの仲縮や上げ下げについて助言していた.このとき,Tの位置からはBが濁水処理装置の死角に入っていたために姿は見えず,声だけが聞こえていた.
Tは濁水処理装置を荷台から約30センチ程の高さにつり上げ,ジブをゆっくり旋回させて荷の半分程度が荷台から出たとき,クレーンのフックがフックブロックから突然抜けて,荷である濁水処理装置と共に落下した.このとき,濁水処理装置の角が支点となって横転し,Bはその下敷きになった.
なお,災害時のクレーンの作業半径は2.2メートル,ジブの傾斜角度は50度であり,つり上げ荷重は2.93トンである.
フックのネジを調べたところネジ山がかなり摩耗していると同時に錆が付着していた.また,ネジのロックピンも変形して破断していた.なお,フックのネジ部の長さは28ミリ,ネジの外径は約23〜24ミリであった.
このクレーンは平成2年7月に製造されたもので,当該運送会社は平成7年に中古品として購入し使用していた.しかし,年次や月例等の定期自主検査は―切行っていなかった.
また,クレーンを操作していたTは,移動式クレーン免許あるいは技能講習資格および玉掛技能講習資格等,作業に必要な資格を一切有していなかった.
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